「業種フィールドが空白のまま営業チームがスコアリングできない」「どの企業が今自社のサービスに興味を持っているかわからない」「フォームが長すぎてコンバージョンが低い」——Breeze Intelligence はこれら3つの問題をCRM に組み込まれたデータエンジンとして解決する。旧 Clearbit の技術を統合した2億以上のプロファイルデータベースを活用し、コンタクト・会社情報の自動補完・購買意向の検知・フォームの自動短縮を実現する。
Breeze Intelligence は HubSpot が 2023 年末に買収した Clearbit の技術を中核に、独自のデータセットと AI 処理を組み合わせたデータエンリッチメントエンジンだ。2億以上のコンタクト・会社のプロファイルデータベースを持ち、CRM に入力された情報(メールアドレス・会社ドメインなど)をトリガーに、空白のフィールドを自動で埋める。
2025 年末以降、標準的なデータエンリッチメント(業種・従業員数・収益・所在地など)はクレジット消費なしの無料機能となった。一方、Buyer Intent(購買意向の検知)・Smart Properties(AI による独自フィールドの補完)はクレジットを消費する有料機能に分類されている。
Breeze Intelligence の最も重要な役割は、Prospecting Agent・Customer Agent・Data Agent が高精度で動くための「データ基盤の整備」だ。Prospecting Agent が業種不明のコンタクトをセグメントして個別化メールを生成しようとしても、業種フィールドが空白では的外れなメールしか送れない。まず標準エンリッチメント(無料)をオンにして CRM データを整えることが、Agents の ROI を最大化する最初のステップだ。
データエンリッチメントは「既存の入力情報(メールアドレス・会社ドメイン)をキーに、外部データベースから追加情報を自動補完する」機能だ。フォームで収集した最小限の情報(名前・メール)から、業種・従業員数・役職・年収・所在地・テクノロジースタックなどを自動取得する。
| 設定項目 | 推奨設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 自動エンリッチメント(新規レコード) | オン | レコード作成と同時に補完されるため、最も効率的。フォーム送信直後からリードスコアリングが機能する |
| 定期エンリッチメント(既存レコード) | オン(月次) | 転職・昇進・会社の成長により情報は変化する。特に役職・従業員数は定期更新が重要 |
| 手動入力データの上書き | オフ推奨 | 営業担当が正確に入力した情報を AI が誤ったデータで上書きするリスクがある。「空欄のみ補完」に設定する |
| 会社エンリッチメント vs コンタクトエンリッチメント | 両方オン | 会社情報(業種・規模・収益)は ABM セグメントに、コンタクト情報(役職・LinkedIn)は個別化に使う |
| エンリッチメント対象のフィールド選択 | 主要フィールドのみ | 全フィールドを対象にすると不正確なデータで CRM が汚染されることがある。業種・従業員数・役職など核心的なフィールドに絞る |
Breeze Intelligence のデータは Clearbit 由来の公開情報・サードパーティデータを組み合わせたものだ。日本企業・中小企業・個人事業主のデータカバレッジは欧米大企業と比べて低い傾向がある。補完されたデータは「おおよその情報」として扱い、重要な商談では営業担当が実際に確認することを推奨する。特に役職・収益額は粗い推定値になることが多い。
自社の Web サイトを訪問する企業のうち、フォームを送信するのはわずか2〜3%だ。残りの 97〜98% は「匿名の訪問者」として素通りしていく。Buyer Intent はこの匿名訪問者を企業単位で特定し、「今まさに購買を検討している企業」をリアルタイムで営業チームに教える機能だ。
技術的には IP アドレスの逆引きと Breeze の企業データベースを組み合わせて、どの企業のネットワークからアクセスがあったかを識別する。さらにどのページを・何回・どの順序で見たかという行動パターンから「購買意向の高さ」をスコアリングする。
| 企業名 | インテント | 訪問ページ | 訪問回数 | 最終訪問 | CRM 状態 |
|---|---|---|---|---|---|
| 株式会社テックソリューション | 🔥 高 | 料金ページ(3回) 導入事例(2回) デモ申込(未送信) |
12回 / 週 | 今日 14:32 | 既存リード(SQL) |
| グローバル商事株式会社 | 🔥 高 | 料金ページ(2回) 機能比較ページ(4回) |
8回 / 週 | 今日 11:15 | 未登録 → 要作成 |
| 東京デジタル株式会社 | 📈 中 | ブログ記事(5件) 製品ページ(1回) |
6回 / 週 | 昨日 | MQL(フォロー待ち) |
| 株式会社フューチャーワークス | 📈 中 | 採用情報(2回) 会社概要(1回) |
3回 / 週 | 2日前 | 既存顧客 |
| スタートアップ合同会社 | 💤 低 | ブログ記事(1件) |
1回 / 週 | 3日前 | 未登録 |
| シグナルパターン | インテントレベル | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 料金ページを3回以上 + 導入事例を閲覧 | 高(購買検討中) | 営業担当に即日通知 → 当日または翌日にアウトリーチ。Prospecting Agent でパーソナライズドメール生成 |
| 機能ページを複数回 + デモ申込ページで離脱 | 高(検討中・迷い) | 「何かご不明点はありますか?」の簡単なメールを送る。デモ申込のハードルを下げるオファーを提示 |
| 複数のブログ記事を継続閲覧(教育フェーズ) | 中(情報収集中) | ナーチャリングシーケンスに登録 → 自動で関連コンテンツを送信。即時アウトリーチは時期尚早 |
| 既存顧客が料金ページを閲覧 | 中(アップセル検討) | 担当 CSM に通知 → アップセルの機会として提案。解約リスクではなく成長機会として扱う |
| 競合他社が閲覧(採用ページのみ) | 低(競合リサーチ) | アクション不要。競合企業のリストに登録してフィルタリングする |
Buyer Intent は監視対象として登録した企業ごとに月 10 クレジット消費する。全訪問企業をすべて監視すると膨大なクレジットが必要になる。効果的な運用は「ICP(理想顧客像)に合致する企業のみを監視対象に設定する」ことだ。業種・従業員数・地域でフィルタリングして、最初は 100〜200 社程度から始め、ROI を確認してから対象を拡大するのが推奨の進め方だ。
フォームショートニングは「既にデータが揃っているコンタクトに対して、フォームの入力項目を自動で削減する」機能だ。CRM にすでに登録されているコンタクトが再度フォームを入力する際、HubSpot が自動的に既知のフィールドを検出してフォームから除外する。
フォームの入力項目が少ないほどコンバージョン率は上がる。しかし情報収集のためにフィールドを減らしたくない——この矛盾を解決するのがフォームショートニングだ。新規訪問者にはフルフォームを、既知訪問者には必要最小限のフォームだけを表示する。
フォームショートニングはクレジットを消費しない無料機能だ。設定は「HubSpot の設定 → データ管理 → Breeze Intelligence → フォームショートニングを有効化」だけで完了する。既に CRM に登録されているリードがセミナー申込・資料ダウンロードを繰り返すたびに、前回以降に収集できていない情報だけを聞くプログレッシブプロファイリングが自動で機能する。導入コストゼロでコンバージョン率が上がる最も手軽な施策の1つだ。
Breeze Intelligence の有料機能(Buyer Intent・Smart Properties)はクレジットを消費する。「どの機能にどれだけクレジットを使うか」の設計なしに導入すると、意図せずクレジットを使い切るか、逆に使わずに終わる。以下の ROI 設計フレームワークを使って、自社に最適な運用計画を立てる。
| 機能 | 月次利用量の見積もり方 | スモールスタートの目安 |
|---|---|---|
| Buyer Intent | 監視対象企業数 × 10クレジット。まず ICP 合致企業を CRM からフィルタリングして数を確認 | 最初は 50〜100社(500〜1,000クレジット/月)から始めて効果検証後に拡大 |
| Smart Properties | 補完対象レコード数 × 10クレジット。新規コンタクトのみか、既存全件かで大きく変わる | 新規コンタクトのみ自動補完(月 100〜500件想定 = 1,000〜5,000クレジット) |
| データエンリッチメント(標準) | 無料なので上限なし。ただし「上書き禁止」設定は必ず確認する | 即時オン推奨。新規コンタクト・会社の自動エンリッチメントをフル活用 |
| フォームショートニング | クレジット消費なし。対象フォームをすべて有効化するだけ | 全マーケティングフォームで即時有効化推奨。設定 5分で完了 |
① 標準データエンリッチメント(無料)をすぐオンにする——コストゼロで CRM が豊かになり、Agents の精度が上がる基盤が整う。② フォームショートニングをオンにする——こちらも無料。コンバージョン率改善に即効性がある。③ Buyer Intent は ICP を定義してから小さく始める——監視企業を ICP に絞って 50〜100社からスタートし ROI を測定してから拡大する。Smart Properties は Buyer Intent で成果が出てから検討するのがクレジット節約の鉄則だ。
2025年末以降、業種・従業員数・収益・所在地などの標準フィールドの自動補完はクレジット不要。CRM の空白を放置したまま Agents を動かすのは「ガソリンなしで車を走らせる」ようなもの。まずこれをオンにすることが Breeze 活用の土台になる。
フォームを送らない 97% の訪問者の中に、最も購買可能性が高いリードが隠れている。料金ページを繰り返し見ている企業・デモ申込ページで離脱した企業をリアルタイムで検知して、営業チームに即日通知する設計が ROI 最大化のポイント。
既知訪問者にフルフォームを表示し続けることは「お客様の時間を無駄にしている」行為だ。ショートニングをオンにするだけで、既存リードの再コンバージョン率と顧客体験が同時に向上する。5分の設定で始められる最もコスパの高い施策。
Buyer Intent で全訪問企業を監視すると ICP 外の企業にクレジットを無駄遣いする。最初は ICP 合致企業 50〜100 社に絞り、ROI を確認してから対象を拡大する。Smart Properties はさらに後回しにして、データ品質改善の効果が他の機能で見えてから導入判断する。