サポートチームが毎日受ける問い合わせの 60〜70% は「パスワードリセット」「プランの確認」「使い方の質問」——同じ種類の繰り返しだ。Breeze Customer Agent はこの繰り返し問い合わせを自社のナレッジベース・Web サイト・PDF を学習した上で 24時間自律対応する AI サポートエージェントだ。9チャネル対応・完全な Audit Card による行動記録・複雑な問い合わせの人間への適切なエスカレーションという設計で、「AI に任せてブランドを傷つける」リスクを最小化している。
Customer Agent は単なる「チャットボット」ではない。ルールベースのフローツリーとは異なり、自然言語で質問を理解し・自社のナレッジソースを検索し・文脈に合わせた回答を生成する「推論型 AI」だ。「マニュアルに書いていない言い回し」や「複合的な質問」にも対応できる。
2025年 INBOUND 以降、対応チャネルが大幅に拡張され、Web チャット・メール・WhatsApp・SMS・音声通話(ベータ)など9チャネルをカバーするようになった。
Customer Agent の課金単位は「会話(Conversation)」だ。1会話 = 1回のチャットセッション全体を指す。「パスワードリセットの方法を教えて」という1文でも、10往復のやり取りでも同じ1会話として 100クレジット消費する。設定で「AI が解決した会話のみ課金する」オプションを選択できる(非解決で人間にエスカレーションした会話は課金されない)。月間 500 会話なら 50,000クレジットが必要になるため、プラン別のクレジット上限を事前に確認する。
Customer Agent の回答精度は「何を学習させたか」で決まる。ナレッジソースの質と網羅性が Agent の品質に直結する。設定できるナレッジソースは3種類だ。
| ナレッジソース種別 | 設定方法 | 最適な用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| HubSpot ナレッジベース | Service Hub の KB 記事を自動的に参照。新規 KB 記事も自動的に Agent に反映される | FAQ・使い方ガイド・トラブルシューティング。定期的に更新する情報 | KB の品質が低いと誤回答の原因になる。まず KB を整備してから Agent を起動する |
| 公開 Web サイト | URL を指定して最大1,000ページをクロール・学習。定期的に再クロールして最新情報を反映 | 製品情報・会社概要・料金ページ。KB に書いていない情報を補完 | ログイン必須ページ・動的コンテンツは学習できない。クロール範囲を適切に設定する |
| PDF / ドキュメント | マニュアル・仕様書・ポリシー文書をアップロード。Breeze Intelligence の Knowledge Vault に保存 | 製品マニュアル・SLA・契約条件・社内ポリシー。公開 Web には載せていない情報 | PDF の品質(スキャン画像 vs テキスト)が精度に影響する。定期的な更新が必要 |
Customer Agent 運用の最重要設計ポイントは「どの場合に人間に引き継ぐか」だ。エスカレーションルールが不適切だと「AI が解決できないのに引き継がない」または「解決できる問い合わせをすぐ人間に回す」という問題が起きる。
Audit Card は Customer Agent が行ったすべての判断・アクション・変更を記録するログ機能だ。「AI が何を根拠にこの回答をしたか」「どのナレッジベース記事を参照したか」「CRM のどのフィールドを変更したか」をすべて透明化する。規制業界(金融・医療・法務)でのコンプライアンス対応に特に重要だ。
| Audit Card で確認できる情報 | 活用方法 |
|---|---|
| 参照したナレッジソース | Agent がどの KB 記事・Web ページ・PDF を根拠に回答したかを確認。誤回答の原因を特定して KB を改善する |
| CRM プロパティの変更履歴 | Agent が自動でコンタクトのプロパティを変更した場合、変更前の値と変更後の値が記録される。意図しない変更を検出・ロールバックできる |
| エスカレーションの判断根拠 | どの条件を検知してエスカレーションを判断したかを記録。ルールが適切に機能しているか確認できる |
| 解決 vs 未解決の分類 | AI が解決した会話・未解決でエスカレーションした会話・顧客が途中離脱した会話を分類してレポートできる |
| CSAT スコアとの相関 | 顧客満足度スコアと AI の回答品質を対照させて、どの種類の質問で満足度が低いかを特定する |
週次で以下を確認する:① 解決率が低い質問カテゴリを特定して KB 記事を追加・改善する。② 誤回答が発生した根拠ソースを特定して、誤った情報を KB から削除・修正する。③ エスカレーション率が高いカテゴリを確認し、ルールが正しく機能しているか確認する。「Audit Card を見ない Customer Agent」は時間とともに品質が低下するリスクがある。月次の品質レビューを運用標準にすることを強く推奨する。
Web チャット・メール・WhatsApp・SMS・音声(ベータ)など9チャネルで同時対応。「FAQ の 60〜70% を AI が解決する」設計を目指す。人間は複雑・感情的・法的な問い合わせに集中できる。
KB が不完全な状態で Agent を起動すると誤回答が顧客に届く。まず「よくある質問 TOP20」の KB 記事を整備してから起動する。Agent は「知らないことは答えない」よりも「エスカレーションする」設計が安全。
感情的・法的・VIP・繰り返し未解決・価格交渉・言語外の6カテゴリは必ず人間にエスカレーションする設定を入れる。「AI に任せすぎてブランドを傷つける」最大のリスクをここで防ぐ。
AI の全行動が Audit Card に記録される。週次で誤回答・エスカレーション率・未解決カテゴリを確認して KB を改善するサイクルを作る。AI は「起動したら終わり」ではなく「継続的に育てるもの」という認識が重要。