複数の Breeze Agent が稼働し始めると「どの Agent が何をしているか」「ガードレールを設定したい」「新しいエージェントを追加・削除したい」という管理ニーズが生まれる。Breeze Studio はこれらのすべての Agent と Custom Assistant を管理・カスタマイズするコントロールパネルだ。Breeze Marketplace はサードパーティが開発した専門エージェントを発見・インストールする場所だ。本章では Studio の全機能・Marketplace の主要エージェント・ガードレールの設計方法を解説する。
Breeze Studio は「設定 → Breeze → Breeze Studio」からアクセスする管理画面だ。HubSpot に導入されているすべての Breeze Agent・Custom Assistant の状態確認・設定変更・パフォーマンス確認を1か所で行える。「どの Agent が稼働中か」「どれだけクレジットを消費しているか」「何件の問い合わせを処理したか」を一覧で把握できる。
Breeze Marketplace(2025年 INBOUND でパブリックベータ開始)は HubSpot が開発した 20以上の専門エージェントと、サードパーティパートナーが開発した Agent を発見・インストールできるカタログだ。コア4エージェント(Content / Prospecting / Customer / Knowledge Base)の「外側」にある専門業務用エージェントが揃っている。
2025〜2026年にかけて Marketplace の一部エージェントが GPT-5 アーキテクチャに移行した。GPT-5 アーキテクチャのエージェントは推論能力・複合タスクの処理精度・多言語精度が向上している。ただしコア4エージェント(Content / Prospecting / Customer / Knowledge Base)は現時点で GPT-4 アーキテクチャで安定稼働しており、GPT-5 への移行は段階的に進む予定だ。
Breeze Agent を組織全体に展開する上で最も重要な管理上の課題は「AI が想定外の行動をしないようにする」ことだ。ガードレールは Agent の行動範囲を定義し、承認フローは重要なアクションに人間のチェックポイントを設ける仕組みだ。
Run Agent は HubSpot ワークフロー内で任意の Breeze Agent を起動できるアクション(2026年初頭、プライベートベータ)だ。「ディールステージが変化したら Closing Agent を起動する」「チケットが作成されたら Customer Agent に処理させる」「フォームを送信したら Prospecting Agent にリサーチを開始させる」という CRM イベントドリブンな自動化が実現する。
| ワークフロートリガー | 起動する Agent | Agent が実行するアクション | 消費クレジット |
|---|---|---|---|
| 取引ステージが「提案済み」に変更 | Closing Agent | 取引の詳細を分析して、クロージングに有効な個別化された追加提案メールを下書き生成・担当者に送信 | 10cr/回 |
| 新規コンタクトが MQL になった | Prospecting Agent | コンタクトのリサーチを開始。バイヤーシグナルの監視を開始してシグナル検知時に自動アウトリーチ | 100cr/コンタクト/月 |
| チケットが作成された(カテゴリ:一般問い合わせ) | Customer Agent | KB を検索して回答下書きを生成。VIP 顧客でない場合は自動送信、VIP の場合は担当者に提案 | 100cr/会話 |
| 会社レコードが新規作成された | Data Agent | Smart Properties を実行。競合使用ツール・採用状況・ICP スコアを自動補完してフィールドに書き込む | 10cr/プロンプト |
| 取引が失注(Closed Lost)になった | Deal Loss Agent | 失注理由を分析して、今後の類似案件での改善提案を生成。週次 Deal Loss レポートに自動追加 | 10cr/回 |
2026年3月時点で Run Agent はプライベートベータだ。利用申請は HubSpot の製品ロードマップページから行う。本番ワークフローへの組み込みは、まずサンドボックス環境で十分にテストしてから行うことを強く推奨する。特に「自動送信」が絡むワークフローは、誤ったコンタクトに誤ったタイミングでメールが届くリスクがある。
何の Agent が稼働中で・どれだけクレジットを消費しているか・パフォーマンスはどうかを Studio で一覧把握する。「気づいたらクレジットが枯渇していた」を防ぐには Studio の Analytics タブを週次でチェックする習慣が必要。
コア4エージェント(Content / Prospecting / Customer / Knowledge Base)を基盤に、Deal Loss・Customer Health・Personalization などの専門エージェントを段階的に追加する。「一度に全部入れる」のではなく「1つずつ効果を確認して追加する」が正しいアプローチ。
「AI に任せてブランドを傷つける」リスクを防ぐのがガードレールだ。アクション権限・対象コンタクト制限・禁止トピック・承認フロー の4点を必ず設定してから全社展開する。設定なしの展開は経営リスクになりうる。
ワークフロー内でエージェントを起動することで「ステージ変更 → クロージング AI が動く」「失注 → 自動分析」などの完全自動化が実現する。ただしプライベートベータのため、本番投入はテスト後に慎重に行う。