HubSpotの真価はデータにあります。マーケティング施策の効果・営業パイプラインの健全性・リードからの成約率まで、すべてのデータが一元管理されているからこそできるレポートがあります。標準レポートの活用・カスタムレポートの作り方・ファネル分析・アトリビューション・ダッシュボード設計・GA4との使い分けまで完全解説します。
HubSpotのレポート機能は4つの種類に分類できます。 どこで何を確認できるかを最初に把握することで、 必要なデータへの最短経路がわかります。
HubSpotが事前に用意しているレポート。設定不要ですぐに使えるが、カスタマイズ範囲は限定的。
複数オブジェクトのデータを組み合わせて自由に設計するレポート。HubSpotの真骨頂。
コンバージョンに至るまでの「どのタッチポイントが貢献したか」を分析する専用レポート。
パイプラインの取引金額と確度から今月・来月の売上を予測するレポート。
| 確認したいデータ | アクセス経路 |
|---|---|
| マーケ・営業の全体KPI | レポート → ダッシュボード(カスタムダッシュボードを作成) |
| フォームの送信数・CV率 | マーケティング → フォーム → 対象フォームをクリック → パフォーマンスタブ |
| メールの開封率・クリック率 | マーケティング → メール → 対象メールをクリック → パフォーマンスタブ |
| パイプラインの現状 | 営業 → 取引(ボードビュー)または レポート → ダッシュボード |
| カスタム分析 | レポート → レポート → 「カスタムレポートを作成」(Pro以上) |
マーケティングの成果を正しく評価するには、「訪問者がどの段階で何人いるか」 というファネル全体の数字を把握することが必要です。 ひとつの指標だけを見ていると施策の本当の課題が見えなくなります。
| ステージ間の転換率 | 平均値の目安 | 数値が低い場合の改善策 |
|---|---|---|
| セッション → フォーム送信(サイトCV率) | 2〜5% | LPのCTA改善・フォームフィールド削減・コンテンツとLPの訴求の一致 |
| Lead → MQL(MQL昇格率) | 20〜40% | リードスコアリングの見直し・フォームで取得する情報の質向上・ターゲット外リードの排除 |
| MQL → SQL(SQL化率) | 40〜60% | マーケ→営業の引き渡しルールの明確化・初回コンタクトのスピード改善(24時間以内が目標) |
| SQL → 取引作成(商談化率) | 40〜60% | 営業のヒアリングスキル・初回商談の質の改善・ターゲット顧客の絞り込み精度向上 |
| 取引 → 成約(クローズ率) | 20〜40% | 提案の質・競合対策・失注理由の分析と対策・商談サイクルの短縮 |
「どのチャネルから来たリードが成約率が高いか」を把握することが マーケティング予算の最適配分に直結します。 HubSpotでは流入チャネルを以下のカテゴリで自動分類します。
| チャネル名 | 意味 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| Organic Search | Googleなどの検索エンジンからの自然流入 | SEO施策の成果。長期的に最も費用対効果が高いチャネルになりやすい。 |
| Paid Search | Google広告・Yahoo広告等のリスティング広告 | CPC・CVRを確認。成約率が高いキーワードへの予算集中を検討。 |
| Direct | URL直接入力・ブックマーク等 | ブランド認知度の指標。Directが多い=ブランド力が高い。 |
| Social Media | SNS(Twitter/Facebook/LinkedIn等)からの流入 | SNSコンテンツのCV貢献度。B2BはLinkedInが重要。 |
| Email Marketing | HubSpotのメールキャンペーン経由 | ナーチャリングメールのCV効果。既存リードの再活性化施策の成果。 |
| Referral | 他サイトからのリンク経由 | メディア掲載・パートナーサイトの効果。 |
ファネルレポートは「ステージAからステージBに何%が進んだか」 を連続して可視化するレポートです。 HubSpotのファネルレポートはコンタクト・取引のライフサイクルステージを 選択するだけで自動計算されます。
アトリビューション分析とは「1件のコンバージョンに至るまでに複数のタッチポイントがあった場合、 どのタッチポイントにどれだけの貢献を割り当てるか」を分析することです。
最初のタッチポイントに100%の成果を割り当てる。
最後のタッチポイントに100%の成果を割り当てる。
すべてのタッチポイントに均等に成果を割り当てる。
最初と最後のタッチポイントを重視し、中間に少し割り当てる。
コンバージョンに近いタッチポイントほど高い貢献を割り当てる。
各タッチポイントへの割り当てを自由にカスタマイズ。
まずはファーストタッチとラストタッチを比較することから始めましょう。
例:「Organic Searchはファーストタッチでは多いが、ラストタッチでは少ない」
→ 「SEOは新規認知には貢献しているが、最終クロージングには別のチャネルが必要」という仮説が立てられます。
マーケティング予算の配分を議論する際に、
単一モデルで判断するのではなく複数モデルで見比べることが重要です。
| 担当者 | 取引数 | パイプライン金額 | 達成率 | 成約率 | 平均サイクル |
|---|---|---|---|---|---|
| 田中 太郎 | 12件 | ¥9.2M | 92% | 38% | 41日 |
| 鈴木 花子 | 9件 | ¥7.6M | 76% | 28% | 52日 |
| 山田 次郎 | 8件 | ¥4.6M | 46% | 25% | 58日 |
| 佐藤 美咲 | 6件 | ¥2.8M | 28% | 17% | 67日 |
担当者別レポートは「責めるためではなく、支援するために使う」のが正しい使い方です。
数値が低い担当者に対しては「何がボトルネックになっているか」を一緒に分析します。
例:山田さんの「平均サイクル58日・成約率25%」 →
「提案フェーズで何日滞留しているか」「失注理由の内訳」を深掘りすることで、
「見積もりを出すのが遅い」「価格交渉でいつも折れている」等の具体的な課題が見えてきます。
| レポート名 | 確認できること | 確認頻度 |
|---|---|---|
| パイプライン進捗レポート | 各ステージの取引数・金額・変化トレンド | 週次 |
| 売上予測レポート | 今月・来月の重み付き売上予測 vs 目標 | 週次 |
| 成約率レポート | 取引作成 → Closed Won の割合、担当者別比較 | 月次 |
| 失注理由分析 | 失注理由別の件数・金額・傾向 | 月次 |
| 商談サイクルレポート | ステージごとの平均滞在日数・ボトルネック特定 | 月次 |
| 活動量レポート | 担当者別のコール数・メール数・会議数 | 週次 |
ダッシュボードは複数のレポートを1画面に集約して、定期的に確認するための コントロールパネルです。 HubSpotでは複数のダッシュボードを作成でき、チームや役職ごとに最適な情報を提供できます。
| 対象者 | 含めるべき主要ウィジェット | 更新頻度 |
|---|---|---|
| 経営者・役員 | 売上予測 vs 目標 / ファネル全体の転換率 / 今月の成約数・金額 / MRR/ARRトレンド | 週次確認 |
| マーケティングマネージャー | チャネル別リード数 / MQL数 / フォーム別CV率 / メールKPI / コンテンツ別貢献度 | 日次〜週次 |
| 営業マネージャー | 担当者別パイプライン / 今月の成約進捗 / 滞留取引一覧 / 成約率トレンド / 活動量 | 日次 |
| 営業担当者(個人) | 自分の取引一覧 / 今日のタスク / 期限超過タスク / 自分のパイプライン金額 | 毎朝確認 |
| CSチーム | オープンチケット数 / SLA達成率 / 顧客満足度スコア / 担当者別未解決チケット | 日次 |
カスタムレポートビルダーは「HubSpotのどのオブジェクトのどのプロパティを 組み合わせてレポートを作るか」を自由に設定できる機能です。 標準レポートでは見えない「マーケ施策 → 成約金額」の直接的な相関を計測できます。
→ Organic Searchが最も成約金額に貢献。Paid SearchはリードCPAは低いが成約金額もやや低め。
→ このデータからSEO予算の増加・Paid Searchのターゲット見直しを提案できる。
【パターン1】チャネル別の成約金額・成約率
データソース:コンタクト + 取引
X軸(グループ):コンタクトの「最近の流入元(チャネル)」
Y軸:取引金額の合計(Closed Won)/ 取引数 / 成約率
用途:マーケ予算配分の最適化判断に使う
【パターン2】コンテンツ別のリード → 成約 転換率
データソース:コンタクト + フォーム + 取引
X軸:最初に送信したフォーム名(最初のコンバージョンページ)
Y軸:新規コンタクト数 / Closed Won数 / 転換率
用途:どのコンテンツ・LPが最も質の高いリードを獲得しているか
【パターン3】担当者別の商談サイクル日数
データソース:取引
X軸:取引オーナー(担当者名)
Y軸:取引作成 → Closed Won までの平均日数
用途:商談サイクルの個人差を特定し、改善策を議論する
【パターン4】失注理由別の分析
データソース:取引(Closed Lost のみ)
X軸:失注理由(カスタムプロパティ)
Y軸:件数 / 失注金額の合計
用途:最も多い失注理由に対して製品・価格・提案の改善を行う
【パターン5】月次MQL数 vs 成約数のトレンド
データソース:コンタクト + 取引
X軸:月次(過去12ヶ月)
Y軸:新規MQL数 / 新規Closed Won数(2軸グラフ)
用途:マーケティング施策の成果が営業成約に反映されるラグを可視化
HubSpotにも分析機能はありますが、GA4・Search Consoleと役割が重複する部分があります。 「どちらで何を計測すべきか」を正確に理解することで、 無駄な混乱を避けて正しいデータを素早く取得できます。
| 計測したい内容 | 推奨ツール | 理由 |
|---|---|---|
| フォーム送信数・CVR | 🟠 HubSpot | CRMデータと直接連動。「誰が」送信したかまで追える。 |
| Google広告のコンバージョン測定 | 🟢 GA4 + Google広告 | 自動タグ付けとの連携が正確。ROAS計算はGA4の方が精度が高い。 |
| SEO順位・クリック数・表示回数 | 🔵 Search Console | Googleが提供するデータなので最も正確。KWごとのCTR改善に使う。 |
| マーケ→成約までのROI計算 | 🟠 HubSpot | 「このキャンペーンが最終的に何円の成約を生んだか」はHubSpotだけで計測可能。 |
| ページ改善・UX分析 | 🟢 GA4 | 離脱率・スクロール深度・ユーザーフローはGA4の方が詳細。 |
| 特定ユーザーの行動履歴 | 🟠 HubSpot | 既知コンタクトが今日どのページを見たかはHubSpotで確認可能。GA4は匿名。 |
□ 経営者・マーケ・営業・CS それぞれ専用のダッシュボードが作られているか
□ ファネルレポートでLead→MQL→SQL→成約の転換率が毎月確認できるか
□ 担当者別の成約率・パイプライン金額がレポートで可視化されているか
□ チャネル別の成約金額を計測するカスタムレポートがあるか
□ ダッシュボードが週次で担当者に自動メール送信される設定になっているか
□ 失注理由が定期的にレポートで分析されているか
□ GA4・HubSpot のどちらで何を計測するかの役割分担が明確になっているか
標準レポート(即使える)/ カスタムレポート(自由設計)/ アトリビューション(施策貢献度)/ 売上予測(パイプライン)。まず標準レポートで全体を把握し、課題が見えたらカスタムレポートで深掘りする。
CV率・MQL昇格率・SQL化率・商談化率・成約率の5つの転換率を毎月確認する。転換率が低いステージが「改善すべきボトルネック」。1ポイント改善するだけで成約数が大きく変わる。
ファーストタッチとラストタッチを比較することで、「認知獲得に強いチャネル」と「クロージングに強いチャネル」が見えてくる。単一モデルで判断すると予算配分を誤る。
経営者・マーケ・営業・CSは見るべき指標が異なる。全員が同じダッシュボードを見ていると「自分には関係ない数字が多くて使いにくい」になる。役職別のダッシュボードを作り定期メールで送付。
チャネル別成約金額 / コンテンツ別転換率 / 担当者別サイクル日数 / 失注理由分析 / MQL×成約トレンドの5つを設計するだけで、データドリブンな意思決定の基盤ができる。
HubSpot=「誰が」「どの施策から」成約したかのCRM連動データ。GA4=サイト行動・広告最適化の詳細分析。Search Console=SEO計測。3ツールを正しく使い分けることで計測の死角がなくなる。