📙 HubSpot CRM/MA ゼロから学ぶ実践教科書
Chapter 0 — Introduction

HubSpot の全体像
CRM・MA・AIエージェントの関係を理解する

HubSpotは単なるCMSでも、単なるCRMでもありません。マーケティング・営業・カスタマーサービス・ウェブサイトをすべてつなぐ統合プラットフォームです。2025年のINBOUND発表以降、Breeze AIとData Hubの登場により、プラットフォームの構成が大きく変わりました。最新の全体像を正確に把握しましょう。

🎯 対象:HubSpot CRM/MA ゼロ知識の方
⏱ 読了目安:45〜60分
🔗 次章:第1章 CRM基本設計
🆕 2026年3月版 — Breeze AI / Data Hub 対応
Learning Materials

📚 この章の学習教材

🎧 音声教材(NotebookLM)
🗺️ マインドマップ
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📊 図解・インフォグラフィック
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この章の内容

  1. HubSpot とは何か — 統合プラットフォームの全体像
  2. HubSpot の Hub 構成(2025年最新)— Operations Hub → Data Hub へ2025年更新
  3. Breeze AI — HubSpot に統合されたAIエージェント群NEW
  4. プラン比較(Starter / Professional / Enterprise)
  5. CRM構築者が最初に知るべき基本概念
  6. 管理画面の構造と各Hubへのナビゲーション
Section 0-1

HubSpot とは何か — 統合プラットフォームの全体像

HubSpot を一言で表すなら「マーケティング・営業・カスタマーサービス・ウェブサイトを ひとつのプラットフォームで動かすSaaSツール」です。

多くの企業では、ウェブサイト(WordPress等)・メール配信ツール・CRM(Salesforce等)・ チャットツール・分析ツールがバラバラのシステムで存在し、 データが分断されています。HubSpotはこれらすべてを統合し、 「サイトを訪れた見知らぬ人が、顧客になるまでの全旅程」を 単一のデータベースで追跡・自動化できます。

HubSpot が解決する問題

よくある課題HubSpot を使わない場合HubSpot を使う場合
データの分断 MA・CRM・CSツールのデータが別々 全ツールが共通CRMデータベースを参照
手動作業が多い フォーム受信→メール送信→CRM登録を手動 ワークフローとBreeze AIが自動処理
ROI計測が困難 施策と売上の関係が追えない フォーム送信〜商談成立まで全ファネルを計測
AI活用が難しい 別途AIツールを導入・連携が必要 Breeze AIが全ハブに統合済みで即使える

▶ HubSpot の統合フロー(AI時代の全体像)

🌐 CMS Hub
サイト・LP・フォーム
🤖 Breeze AI
リード自動判定
📣 Marketing Hub
メール・ワークフロー
💼 Sales Hub
商談・見積もり
🎧 Service Hub
カスタマーサポート

全ステップが共通の Smart CRM データベース に繋がっており、Breeze AIが横断的にデータを分析・アクションを提案

▶ 2026年版 HubSpot 全体像インフォグラフィック

2026年版 HubSpot全体像(Breeze AIとData Hubを中心とした統合プラットフォーム)

▶ 第0章 音声教材(NotebookLM)

再生できない場合は こちら から直接開いてください。

Section 0-2

HubSpot の Hub 構成(2025年最新)

HubSpotは複数の「Hub」と呼ばれる製品群で構成されています。 2025年秋のINBOUND 2025で、Operations Hub が廃止され「Data Hub」に刷新されました。 現在の正式な構成は以下の通りです。

⚠️ 2025年重要変更:Operations Hub → Data Hub

Operations Hub は Data Hub(データハブ) に置き換えられました。 既存の Operations Hub 機能(データ同期・カスタムコード等)は引き続き利用できますが、 新機能(Data Studio・Data Quality)はData Hubブランドで提供されています。 設計書・提案書でのHub名称は「Data Hub」に統一してください。

📣 Marketing Hub

メール・自動化・コンテンツ・広告

  • ワークフロー自動化
  • メール・LP・フォーム
  • Journey Automation(新機能)
  • Lookalike Lists(新機能)
  • AIコンテンツ生成(Breeze連携)

💼 Sales Hub

商談・パイプライン・見積もり

  • 取引パイプライン管理
  • Sales Workspace(AI強化)
  • AI-powered CPQ(見積もり自動化)
  • Deal Insights CRMカード
  • Prospecting Agent(Breeze連携)

🎧 Service Hub

カスタマーサポート・チケット

  • ヘルプデスク・チケット管理
  • Customer Agent(AI対応)
  • Knowledge Base Agent
  • CLV・NPS レポートカード

🌐 CMS Hub

ウェブサイト・ブログ・LP構築

  • HubL テンプレート
  • カスタムモジュール
  • HubDB・Dynamic Pages
  • コンテンツAI生成
2025年刷新

🗄️ Data Hub

データ統合・品質管理(旧 Operations Hub)

  • Data Studio(外部DWH連携)
  • Data Quality Command Center
  • カスタムコード(Python/JS)
  • 外部ツールとのデータ同期
  • AI自動データクレンジング

🛒 Commerce Hub

決済・見積・請求(強化中)

  • 商品カタログ管理
  • 決済リンク・請求書
  • AI-powered CPQ
  • Closing Agent(AI)
✅ CRM設計者が特に押さえるべき連携ポイント

Marketing Hub ↔ Smart CRM の連携が最も重要です。
フォーム送信データはCRMに自動登録され、Marketing Hubのワークフロー(またはJourney Automation)が起動します。 データの品質管理はData HubのData Quality機能を活用し、 重複や空白プロパティを自動修正できるようになりました。


Section 0-3 ★ New

Breeze AI — HubSpot に統合されたAIエージェント群

2025年、HubSpotはすべてのAI機能を「Breeze(ブリーズ)」ブランドに統合しました。 Breezeは「アシスタント」と「エージェント」の2層から成り、 CRM全体を横断して自律的にタスクを処理するAIチームメンバーとして機能します。

従来のAIはコンテンツ生成程度の用途でしたが、BreezeはCRMデータを読み書きし、 ワークフローを起動し、外部情報を調査し、見積もりを自動作成するなど、 実業務のアクションまで担います。

Breeze の2層構造

ℹ️ Breeze Assistant vs Breeze Agents

Breeze Assistant(アシスタント):チャット形式でHubSpot上の作業を補佐。コンテンツ生成・データ検索・メール下書きなど。Web検索・ファイル添付・Slack/Googleとの連携が可能。

Breeze Agents(エージェント):特定業務を自律的に処理するAIワーカー。人間の指示なしで24時間稼働し、CRMデータの更新・リードへのアウトリーチ・サポート対応などを実行する。

主要 Breeze Agents 一覧(2025〜2026年)

🤖 Customer Agent Marketing/Service Pro+

24時間365日稼働のフロントオフィスAI。チャット・メール・WhatsApp・Facebook・音声チャンネルで顧客対応。問い合わせの50%以上を自動解決。CRMコンタクトプロパティを最大10件読み書き可能。

🎯 Prospecting Agent Sales Pro+

24時間稼働のBDR(ビジネス開発担当)AI。ターゲットアカウントを自動リサーチし、バイイングシグナルを検知し、パーソナライズされたアウトリーチメールを送信。前四半期比94%の採用増。

📝 Content Agent Marketing Pro+

ランディングページ・ブログ記事・ポッドキャスト・ケーススタディをCRMデータと実際のオーディエンスインサイトを元に生成。ブランドガイドラインを学習させてカスタマイズ可能。

📚 Knowledge Base Agent Service Pro+

サポートチケット・通話・メールから未解決の知識ギャップを自動検出し、ナレッジベース記事を自動生成・更新。Customer Agentと連携して回答精度を向上。

📊 Data Agent Data Hub

「競合製品を使っている見込み客はどれくらいいるか」などの複雑なCRM分析クエリに自然言語で回答。内外部データを横断的に調査・レポート生成。

🏗️ Breeze Studio 全プラン

カスタムAIエージェント・アシスタントをノーコードで構築・管理するワークスペース。Breeze Marketplaceでは他社製エージェントの発見・インストールも可能。

Breeze AI が使えるプランの目安

機能StarterProfessionalEnterprise
Breeze Assistant(基本) ✅ 利用可 ✅ 利用可 ✅ 利用可
Content Agent ✅ Marketing Pro+
Customer Agent ✅ Marketing/Service Pro+
Prospecting Agent ✅ Sales Pro+
Data Agent ✅ Data Hub Enterprise
Breeze Intelligence(リード強化) ✅ クレジット消費 ✅ クレジット消費
🆕 2025年新しい料金体系:クレジット制

Breeze Agentsの一部機能は「クレジット(Credits)」消費モデルで動作します。 プランに応じた月次クレジットが付与され、エージェントの実行回数・リード強化件数などで消費されます。 大量運用を検討する場合は事前にクレジット消費量の見積もりを行ってください。 想定外のコスト増を防ぐため、導入初期は利用上限を設定することを推奨します。


Section 0-4

プラン比較(Starter / Professional / Enterprise)

HubSpotのプランは各Hubごとに設定されており、 どのHubのどのプランを契約するかによって使える機能が大きく変わります。 2025年以降は「Smart CRM」というプランが新設され、従来のCRM Enterpriseの機能をより明確に提供しています。

Marketing Hub プラン比較(最重要)

機能StarterProfessionalEnterprise
ワークフロー自動化
Journey Automation
リードスコアリング
Lookalike Lists(AI)
Customer Agent(Breeze)
Content Agent(Breeze)
カスタムオブジェクト
階層型チーム・フィールドレベル権限
⚠️ よくある確認漏れ

ワークフロー自動化・Journey Automationは Marketing Hub Professional 以上でないと使えません。 CMS Hub Professional を契約していても、Marketing Hub が Starter のままだとワークフローは使えません。 HubはそれぞれのプランとHubが独立して課金されています。 Breeze Agentsも同様に、対応するHubのProfessional以上が必要です。


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CRM構築者が最初に知るべき基本概念

HubSpot CRM のデータは「オブジェクト」という単位で管理されます。 オブジェクトはデータベースのテーブルに相当し、それぞれが独自のプロパティ(フィールド)と レコード(行)を持ちます。オブジェクト同士は「アソシエーション(関連付け)」 で繋がっています。

標準オブジェクトと2025年の変更点

オブジェクト概要2025年の変更
コンタクト 個人の見込み客・顧客情報 Breeze Intelligenceによる自動エンリッチメント強化
会社 企業・組織情報 CLV(顧客生涯価値)カードがレコードに直接表示
取引 商談・営業プロセス Deal Insights AIカードで商談リスクを自動分析
チケット サポート・問い合わせ管理 Customer Agentが50%以上を自動解決
リード(Leads) 営業前の見込み客管理 🆕 名称変更・オブジェクトOFF が可能に
カスタムオブジェクト 独自業務に合わせたオブジェクト Enterprise向け(変更なし)
🆕 Leadsオブジェクトのカスタマイズ(2025年10月〜)

「Leads(リード)」オブジェクトは名称を自由に変更できるようになりました。 マーケティング部門と営業部門で「リード」の定義が異なる場合に、チームの用語に合わせた名称に変更できます。 また、Leadsオブジェクト自体を完全にオフにすることもでき、 Leadsを使わない運用をしているチームはCRMをシンプルに保てます。
設定場所:⚙️設定 → オブジェクト → リード → 「名称変更」または「無効化」

Flexible CRM Views — データの見方が自由に

2025年以降、Smart CRMではデータの表示形式を自由に切り替えられるようになりました。

表示形式用途
テーブルビュー従来通りの一覧表示。フィルタ・ソートに強い。
ボードビューカンバン形式。パイプラインの進捗管理に最適。
カレンダービュー日程・締め切りの把握。フォローアップ管理に便利。
マップビュー訪問先・顧客の地理的分布を可視化。フィールドセールスに有用。

その他の基本概念(変更なし)


Section 0-6

管理画面の構造と各Hub へのナビゲーション

HubSpot の管理画面は上部ナビゲーションバーから各Hubにアクセスします。 2025年以降、AIアシスタント(Breeze)のボタンが常時表示され、 どの画面からでもBreeze Assistantを呼び出せるようになっています。

メニュー項目主な機能
連絡先(CRM)コンタクト・会社・取引・チケット・リード
マーケティングメール・フォーム・LP・広告・ブログ・ワークフロー
営業取引・タスク・見積もり・Sales Workspace・商品
サービスチケット・ナレッジベース・ヘルプデスク・カスタマーエージェント
コンテンツ(CMS)ウェブサイトページ・ブログ・LP・デザインマネージャー・HubDB
データ(Data Hub)Data Studio・Data Quality・インテグレーション・カスタムコード
レポートダッシュボード・レポート・アトリビューション
⚙️ 設定ユーザー・プロパティ・インテグレーション・AI設定・請求
✨ Breeze全画面から常時アクセス可能なAIアシスタント

既存ポータル引き継ぎ時の確認リスト(2026年版)

#確認内容確認場所
1プラン・Hub構成の確認アカウント名クリック → アカウントとサブスクリプション
2Breeze Agent の稼働状況設定 → Breeze → 各エージェントの有効/無効
3カスタムプロパティの確認⚙️設定 → プロパティ → コンタクト
4既存ワークフロー・Journey確認マーケティング → 自動化 → ワークフロー / ジャーニー
5Data Quality スコアの確認データ → Data Quality Command Center
6クレジット残高・消費状況⚙️設定 → アカウント → 使用量と制限
ℹ️ 既存ポータルの引き継ぎ時に特に注意(2026年版)

引き継ぎ時は、従来のワークフローに加えJourney AutomationやBreeze Agentが稼働していないかも確認してください。 特にCustomer AgentはCRMデータを自動更新する設定になっている場合があります。 意図しないデータ変更を防ぐため、AIエージェントのアクション設定を必ず把握してから作業を開始してください。


Section 0-7

第0章まとめ

📌 この章で押さえるべきポイント(2026年版)

Operations Hub は廃止→Data Hub へ

2025年秋からData Hubが正式名称。Data Studio・Data Quality・AI自動クレンジングが追加された。設計書・提案書の記述を更新すること。

Breeze AI が全Hubに統合

Customer Agent・Prospecting Agent・Content Agent等15種以上のAIエージェントが利用可能。Professional以上で使えるものが多く、クレジット消費モデルに注意。

ワークフローは Professional 以上が必須

自動化の核心はMarketing Hub Professional以上。Journey Automationも同様。プロジェクト開始前にプランを必ず確認する。

Leadsオブジェクトが柔軟に

2025年10月以降、Leadsオブジェクトは名称変更・無効化が可能。チームの用語に合わせてCRMをカスタマイズできる。

Flexible CRM Views で可視化が自由に

テーブル・ボード・カレンダー・マップの4種類の表示形式を切り替え可能。チームの業務スタイルに合わせたビューを設計する。

引き継ぎ時はAIエージェント設定も確認

既存ポータルにBreeze AgentやJourney Automationが稼働している可能性がある。CRMデータ自動更新の設定を把握してから作業開始すること。

次章:第1章 CRM基本設計 — コンタクト・会社・取引の管理

HubSpot CRMのデータモデルを正しく理解し、プロパティ設計・ライフサイクル設計・権限設計の実践方法を解説します。

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