HubSpotのメール機能は「一斉配信のマーケティングメール」「個別対応の営業メール」「自動連続送信のシーケンス」の3種類があります。使い方を間違えるとスパム扱いになりかねません。3種類の違い・テンプレート作成・パーソナライズ・リスト設計・法律対応・効果測定まで完全解説します。
HubSpotには目的と使い方が異なる3種類のメール機能があります。 この違いを正確に理解することが、効果的なメール施策の第一歩です。 間違った使い方をすると配信停止率が急増したり、法律違反になる可能性もあります。
| 状況 | 使うべきメール種別 | 理由 |
|---|---|---|
| 月次ニュースレターを1000人に送りたい | 📣 マーケティングメール | 一斉配信はマーケティングメール。配信停止管理が必須。 |
| 商談中の相手に提案書を送りたい | 💌 1対1営業メール | 個別対応。返信・開封がCRMに記録される。 |
| フォーム送信後に自動でサンクスメールを送りたい | 📣 マーケティングメール(ワークフロー経由) | ワークフローのアクション「メールを送信」で自動化。 |
| 展示会で名刺交換した相手に3回フォローしたい | 🔗 シーケンス | 営業個人からのパーソナルなフォロー。返信があれば自動停止。 |
| MQLになったリードへの初回コンタクト | 🔗 シーケンス または 💌 1対1 | 担当営業からのパーソナルなアプローチ。一斉配信は逆効果。 |
「担当者名義で一斉配信すれば開封率が上がる」という考えでマーケティングメールを 個人名義で送るケースがありますが、これは逆効果になりやすいです。 大量の人が同じ「個人メール」を受け取ると、すぐにスパムと気づかれます。 本当にパーソナルな印象を与えたい場合は、シーケンスで少数のターゲットに絞って送ることが 正解です。
| メール種別 | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| 通常メール | ニュースレター・キャンペーン・お知らせ | 手動でリストを指定して送信。即時または予約送信が可能。 |
| 自動メール | ワークフローからの自動送信 | ワークフローのアクションとして設定。個別トリガーで送信。 |
| ブログ/RSSダイジェスト | ブログ更新を購読者に自動通知 | HubSpotブログに新記事が公開されると自動でメールを送信。 |
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| 要素 | 推奨設定 | NG例と理由 |
|---|---|---|
| 件名の長さ | 30〜40文字以内(スマホで切れない長さ) | 「【重要】弊社の最新製品情報および導入事例についてのご案内です」→ 長すぎて読まれない |
| 件名の冒頭 | 最も伝えたいキーワードを先頭に | 「弊社からのお知らせ」→ 何のメールかわからない |
| パーソナライズ | 名前トークンで「山田様」等を件名に挿入 | パーソナライズなしの一律件名は開封率が低い |
| プレビューテキスト | 件名の補足情報を40〜90文字で記載 | プレビューテキスト未設定 → メール本文の冒頭(配信停止リンク等)が表示される |
| 送信者名 | 「田中太郎(株式会社○○)」等、人の名前を含める | 「info@example.com」だけの送信者名は開封率が低い |
パーソナライズトークンは「メールの中にCRMのプロパティ値を動的に埋め込む」 機能です。1通のメールを1000人に送っても、受信者ごとに異なる内容で届きます。 正しく使うと開封率・クリック率の大幅な向上が見込めます。
| トークン | 参照プロパティ | 使用例 |
|---|---|---|
| {{ contact.firstname }} | コンタクトの名(名前) | 件名・冒頭の呼びかけ「山田様」 |
| {{ contact.lastname }} | コンタクトの姓(苗字) | フルネームを使う場合 |
| {{ contact.company }} | コンタクトの会社名 | 本文中の会社名への言及 |
| {{ contact.email }} | メールアドレス | 「このアドレスに配信中:○○」等の確認用途 |
| {{ contact.hubspot_owner_firstname }} | 担当者の名 | 「担当の○○よりご連絡」等の署名に |
| {{ contact.lifecyclestage }} | ライフサイクルステージ | 条件によってコンテンツを出し分ける際の判定に |
| {{ date | strftime('%Y年%m月%d日') }} | 送信日時 | 「○月○日時点での情報」等の日付挿入 |
プロパティに値が入っていないコンタクトにメールを送ると、 トークン部分が空白のまま表示されます。 必ずデフォルト値(フォールバック値)を設定してください。
// NG:名前が入っていないと「様」だけになる {{ contact.firstname }}様 // OK:デフォルト値を設定する(名前がない場合は「お客」が入る) {{ contact.firstname | default("お客") }}様 // 会社名も同様 {{ contact.company | default("貴社") }}の皆様 // 担当者名のデフォルト 担当:{{ contact.hubspot_owner_firstname | default("担当") }}
HubSpotのメールエディターには「プレビュー」機能があります。 送信前に複数のコンタクトを選択してプレビューし、 トークンが正しく置換されているか・空白にならないかを確認します。 特にデフォルト値の設定漏れは、「○○様」が「様」だけになる失礼なメールを生みます。 本番送信前は必ず自分のアドレスにテスト送信してから配信してください。
メール配信の「誰に送るか」を決めるのがリストです。 第1章でも触れましたが、メール配信の観点でより詳しく解説します。
| リスト名(例) | 種別 | 条件 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 月次ニュースレター配信リスト | アクティブ | メール配信同意あり AND 配信停止していない | 毎月のニュースレター配信 |
| ホットリード通知リスト | アクティブ | リードスコア ≥ 50 AND ライフサイクル = MQL | ワークフローのトリガー用 |
| 2025年春展示会参加者 | 静的 | 手動追加(展示会当日の名刺リストをインポート) | 展示会フォローアップメール |
| 配信停止・除外リスト | アクティブ | 配信停止 OR スパム報告 OR 無効メールアドレス | 全配信から除外(抑制リスト) |
配信の除外対象をまとめた「抑制リスト(Suppression List)」は、 メール送信設定の「除外するリスト」に指定することで、 対象コンタクトへの誤送信を防ぎます。
メール配信には国内外の法律への対応が必須です。 HubSpotはGDPRや各国の法律への対応機能を標準で備えていますが、 設定内容・運用ルールはプロジェクト設計者が正しく設定する必要があります。
メールを配信するには、受信者の事前の同意(オプトイン)が必要です。フォームに「メールマガジンを受け取る」チェックボックスを追加し、同意した人のみリストに追加します。
マーケティングメールには配信停止リンクの設置が法律で義務付けられています。HubSpotは全マーケティングメールのフッターに自動で配信停止リンクを挿入します。
EU在住者のデータを扱う場合に適用。データ収集の目的・同意の根拠・データ保持期間の明示が必要。HubSpotのGDPR機能を有効化することで対応フォームが作れる。
日本の法律。広告・宣伝目的のメールには受信者の同意が必要。メール本文に送信者の氏名・住所・配信停止方法の明示が義務付けられている。
HubSpotでは「どの種類のメールに同意したか」を「サブスクリプションタイプ」 という単位で管理します。適切に設計することで、 「ニュースレターは停止したが製品更新情報は受け取りたい」 といった細かい同意管理が可能になります。
| サブスクリプションタイプ例 | 対象メール | 設定場所 |
|---|---|---|
| マーケティング情報 | 月次ニュースレター・キャンペーン・製品案内 | ⚙️設定 → マーケティング → メール → サブスクリプションタイプ |
| 製品アップデート | 機能追加・バージョンアップのお知らせ | 同上 |
| イベント・セミナー案内 | ウェビナー申込・展示会のご案内 | 同上 |
| サービス通知(必須) | 利用規約変更・メンテナンス通知等 | 同上(「必要なサービス通信」は配信停止不可にできる) |
□ すべてのフォームにメール受信同意のチェックボックスがあるか
□ マーケティングメールのフッターに送信者の会社名・住所が記載されているか
□ 配信停止リンクが全メールに含まれているか(HubSpotが自動挿入するが確認する)
□ 配信停止したコンタクトへの誤送信防止の仕組みがあるか(アクティブリストで自動除外)
□ EU向けの場合、GDPRの設定が有効になっているか
□ 購入リスト(外部から購入したメールリスト)を使っていないか(規約違反)
シーケンスは営業担当者が特定のリードに対して設定する自動フォローアップの仕組みです。 「3日おきに3回メールを送って、返信がなければ電話タスクを作る」 といった営業フォローのパターンを自動化します。 マーケティングメールと違い、返信があった瞬間に自動で停止するのが最大の特徴です。
| シーケンス | マーケティングメール | |
|---|---|---|
| 送信者 | 営業担当者個人(個人メールアドレス) | 会社のメールアドレス |
| 返信があったら | ✅ 自動でシーケンス停止 | 停止しない(別途設定が必要) |
| 1度に送れる人数 | 少数(数十〜数百人程度) | 数万人規模も可能 |
| 開封率の傾向 | 高い(個人メールに近い印象) | 低い(一斉配信と認識される) |
| タスク(電話等)との組み合わせ | ✅ 可能 | ❌ 不可 |
| 配信停止リンク | 不要(個別対応のため) | 必須(法律要件) |
展示会翌日に、担当営業が名刺交換したコンタクトを手動でシーケンスに登録する。
展示会でお話した内容への御礼と、資料・製品ページのURLを送付。
メール①への返信がなかった場合、担当営業にフォローアップ電話のタスクが自動生成される。
電話もつながらなかった場合の2通目。展示会でお話した課題に関連する導入事例を紹介。
最後のメール。「もしご興味がなければ、以降のご連絡は控えます」と明示することで誠実さを伝え、返信を促す。
すべてのステップが完了したら自動でシーケンス終了。返信があった時点で即時終了し、営業の手動フォローに移行。
| 指標 | 確認場所 | 数値が悪い場合の改善策 |
|---|---|---|
| 開封率が低い | マーケティング → メール → 対象メールを選択 → 「パフォーマンス」タブ | 件名の改善(パーソナライズ・短くする・数字を入れる)/ 送信時間の最適化 / リストのセグメント精度向上 |
| クリック率が低い | 同上 → 「クリックマップ」でどのリンクがクリックされているか確認 | CTAボタンのテキスト・色の改善 / CTA数を減らして1つに絞る / コンテンツとCTAの関連性を高める |
| 配信停止率が高い | 同上 → 「購読解除」数を確認 + どのリストで高いか分析 | 配信頻度を下げる / コンテンツの関連性を高める / セグメントを細かくする |
| バウンス率が高い | 同上 → 「バウンス」数を確認 + 対象コンタクトを特定 | 無効アドレスをリストから除外 / インポートリストの品質確認 / 古いリストは一度活性化キャンペーンで絞り込む |
Apple が iOS 15 / macOS Monterey で導入した「Mail Privacy Protection(MPP)」により、
iPhoneやMacのMailアプリを使っているユーザーの開封が
実際には開封していなくても「開封済み」と記録されるようになりました。
このため、現在の開封率データは実態より高く見える傾向があります。
開封率を単独の指標として判断するのではなく、クリック率・コンバージョン数など
より確実に計測できる指標と組み合わせて評価することが重要です。
マーケティングメール(一斉配信)/ 1対1営業メール(個別対応)/ シーケンス(自動連続フォロー)。混同すると法律違反・スパム報告・開封率の低下を招く。用途に合った種別を必ず選ぶ。
{{ contact.firstname | default("お客") }}様のようにデフォルト値を設定しないと、プロパティ未設定のコンタクトに「様」だけが届く。送信前のテスト送信で必ず確認する習慣を作る。
定期配信にはアクティブリスト(条件が変わると自動更新)が最適。展示会フォロー等の一度きりの配信には静的リストを使う。抑制リストで誤送信を防ぐ設計も忘れない。
マーケティングメールの配信停止リンクはHubSpotが自動挿入する。これを削除すると特定電子メール法・GDPR違反になる可能性がある。フッターをカスタマイズする際は必ず確認。
シーケンスは返信があった瞬間に停止する。「返信がない場合だけ次のフォローを送る」という人間の判断を自動化する仕組み。3〜5ステップ・14日間程度が標準的な設計。
Apple MPPの影響で開封率データの精度が低下している。クリック率・コンバージョン数・配信停止率の複数指標を組み合わせて評価する。クリックマップで実際の行動を確認する。